子どものリビング学習はいつまでするの?小学校を卒業するまで?

「リビング学習」を取り入れるべきか迷う保護者向けに、リビング学習を行うことで得られる子どもへのメリットやデメリットについて解説します。さらに、効果的なリビング学習のやり方について紹介します。

「リビング学習」とは、子ども部屋といった自室ではなく、リビングやダイニングなど、家族の目が行き届く場所で勉強することを指します。リビング学習を行うメリットは、おもに親がいつでも目を掛けられることです。東大進学者など、高学歴の家庭でよく取り入れられています。

そこで今回は、リビング学習を行うメリットやデメリット、リビング学習に向いている子どもの特徴やポイントなどについて紹介します。

リビング学習はいつまで?

リビング学習はいつまで?リビング学習は、子どもの学習に効果をもたらす可能性が高いです。小学生は、自力で集中力を身に着けるのは難しく、親の見ていないところだと、ついサボってしまう子どもも少なくありません。

保護者のなかには、リビング学習はいつまで続けるべきか迷っている方もいるはずです。ここでは、それぞれのリビング学習事情について紹介します。

小学校低学年

小学校低学年は、まだひとりでの学習が難しいため、リビング学習によって学習習慣をつけさせるのがおすすめです。たとえば、学校や塾の宿題、通信教材といった家庭学習は、リビングで学習することで、保護者もより早く子どものつまずきに気づけるメリットがあります。

ただし、夏休みの課題で出る工作や自由研究については、リビングだと散らかってしまい、あとで片付けるのが厄介です。そのため「なるべくリビングはきれいなままにしたい」と考える保護者や子どもの自室があるなら、そこでやった方がよいと考える保護者もいます。

小学校高学年

低学年の頃ほどではないにしろ、高学年もまだ小学生なので、自分で勉強する習慣が身についていないことがほとんどです。したがって、高学年でも、リビング学習は効果的だといえます。

とくに、高学年になると中学受験などもあり、学校の宿題だけではなく、塾の宿題もあります。ただし、高学年になって、徐々に自分の勉強スタイルが確立しているのであれば、状況によって、子ども自身が選べるようにするのがベストです。

中学生・高校生

中学生や高校生にもなると、自分の学習スタイルが確立するため、小学生のころと比べて、リビング学習をする人は少なくなります。また、中学生か高校生かによって、リビング学習の事情はやや変化します。

たとえば、中学生の場合、リビング学習と自室の両方を利用するケースが多いです。もし、中学生の時点でまだ自分で学習する習慣がない、家庭学習自体がないのであれば、リビング学習から始めてみてもいいかもしれません。

また、高校生の場合だと、そもそもわざわざ家で学習する人も少なくなり、図書館や学校などで勉強することもあります。もちろん、自宅で学習する人もいますが、学習習慣を身につけさせるために、リビング学習を取り入れる必要は、ほぼないといってよいでしょう。

自分の意志でリビング学習するのであれば別ですが、受験勉強も定期試験前も、ほぼ自室で勉強する人が多数派です。さらに、予備校生の場合、自宅や自室ではなく、ほとんど予備校の自習室で勉強するようになります。加えて、自宅で勉強するときにも、リビングではなく自室であることが多いです。

大学生

大学生は、レポートの作成や試験勉強などがメインとなるため、ほとんどは自室かもしくは、大学の図書館、大学、カフェなどで勉強する人が多いです。ただし、社会人になれば、資格取得の勉強や持ち帰った仕事などを、自室よりもリビングでする人が増えます。

リビング学習については、まだ学習習慣のない小学生までが多数派で、成長するにつれて、リビング学習を行わず、自室や学校、塾などで済ます子どもが増えていきます。しかし、厳密には、本人の性格や家庭状況によって変わるため、保護者は子どもの意志を尊重してあげることが大事です。

リビング学習のメリット・デメリット

リビング学習には当然ながら、メリットとデメリットとがあります。

そこでここでは、リビング学習のメリットやデメリットについて、それぞれ詳しく紹介します。

メリット

リビング学習のメリットは主に以下のものが挙げられます。

集中力を養いやすい

リビング学習は自室と異なり、まず集中力を養いやすいといったメリットがあります。リビングは家族が集まる空間なので、当然生活音があります。程よい生活音があるからこそ、自然に集中力を養えるのです。

普段から、誰かがいる空間で勉強する習慣を身に着けられれば、学校など大勢の人がいるようなところでも、問題なく集中できます。たとえば、試験中のペンの音やほかの人が用紙をめくる音、貧乏ゆすりなどが聞こえたとしても、気が散ることはありません。

勉強を習慣化しやすい

どうしても自室だと、ゲームや漫画など、自分の好きなものにあふれているため、なかなか勉強が手につきません。保護者のなかには、勉強してほしいがために、あえて自室で勉強するように促す人もいますが、子どものタイプによっては、誘惑が多いがために逆効果になる可能性もあります。

しかし、リビング学習であれば、親の目に届き、誘惑もあまりないため、比較的勉強が手についやすく、習慣にもしやすいといったメリットがあります。

親子でコミュニケーションが取りやすい

リビングは家族が自然と揃うところなので、親子のコミュニケーションが取りやすいといったメリットが挙げられます。

保護者が、子どもの勉強の仕方や態度など、さりげなくチェックできるだけではなく、子どもにとっても、いつでも保護者に質問しやすいという両方にメリットがあります。

学習の環境づくりをサポートしやすい

子どもの学習の環境づくりをサポートしやすいことも、リビング学習で得られるメリットです。具体的には、学習により集中しやすいように照明環境を整えてみる、雑談や休憩など、保護者の方から自然と息抜きのタイミングを提案できることなどです。

たしかに、自室での勉強の方が切り替えしやすいといった意見もありますが、やはりまだ自分の学習スタイルが確立していない子どもや無意識に学習環境がととのっていないケースだと、なかなか学習アップは難しくなります。だからこそ保護者の目が届く範囲で、チェックできるリビング学習の方が、対策や改善などもスムーズになります。

デメリット

リビング学習ではメリットもありますが、一方でデメリットもあります。

そこでここでは、リビング学習のデメリットや注意すべき点などについて紹介します。

気持ちの切り替えが難しい

リビング学習は家族団らんの場所ということもあり、なかなか勉強とリラックスするときとの切り替えが難しくなりがちです。とくに、まだ年齢が低い頃だと、保護者にすぐに話しかける、テレビに夢中になってしまう可能性も考えられます。

もし、子どもの集中力がないと感じるのであれば、テレビをつけないようにする、誘惑となりそうなものをあらかじめ撤去する、緊張感のある雰囲気を作るなど、意識が必要です。

周りの家族が気を遣わなくてはいけない

リビング学習によって、子どもが勉強に集中できるのはよいですが、リビング学習をしている間は、周りの家族が集中の妨げとならないように気を遣わなくてはなりません。たとえば、生活音の音をなるべく小さくする、見たいテレビを我慢するなどが挙げられます。

1時間や2時間程度ならそこまで影響はありませんが、数時間以上となると、一緒に住む家族にとっては、かなり窮屈になってしまいます。

さらに、保護者は掃除や家事などをしなければならず、どうしても作業には音が入ってしまうため、意図せず子どもの集中力を奪ってしまうことにもつながります。

過干渉になりがち

保護者が監視していることで、過干渉になりやすいといった面もあるため要注意です。見られていることに対して、ストレスを感じるタイプの子どもおり、かえってモチベーションや集中ができなくなるといったケースもあります。

「解けた?」などと頻繁に声をかけるのではなく、一教科終わったときなど、タイミングには気を付けるようにした方がよいでしょう。

リビングが片付かない

リビングでの学習を習慣化してしまうと、リビングが片付かなくなるといった心配が挙げられます。とくに、勉強となると、教科書や筆記用具などを使うため、机や床の上に鉛筆の跡や消しゴムのゴミなどが残りやすいです。

なかでも、小学校低学年だとまだ片付けが甘い場合があるため、しっかり片付けの習慣をつけさせておくことが大切です。

リビング学習にも向き不向きがある?

リビング学習には、子どものタイプによって向き不向きがあります。リビング学習が合わない子どもが、リビング学習を続けていても、なかなか成績は上がりません。

そこでここでは、リビング学習が向いている性格と、向いていない性格の特徴について紹介します。

リビング学習に向いている性格

リビング学習に向いている性格は「周囲に多少雑音がある方が集中しやすい」「保護者が見ていないところではついサボってしまう」などです。ほかにも、自室ではゲームや漫画などの誘惑があり、帰ってきてもすぐに勉強を始められないといったタイプも、リビング学習の方が、より効率的に学習習慣が身につきます。

また、リビングでいつまでもダラダラしてしまうといった子どもも、リビング学習にすることをおすすめします。リビングの一部に勉強スペースを設ければ、自然と保護者の目も届きやすく、リビングも必要以上に汚す心配がありません。

リビング学習に向いていない性格

リビング学習が向いている性格の子どももいれば、向いていない子どももいます。たとえば、リビングで出る生活音や雑音などが、逆に集中力を欠けさせてしまう、いろいろなものに対して好奇心旺盛といったタイプだと、リビング学習は不向きです。

テレビや兄弟が遊んでいるのがつい気になってしまうのであれば、一緒に遊んでしまう可能性もあります。もし、リビング学習に向いていないのであれば、時間を決めて自室で勉強する方が集中できます。

自室での勉強だとサボってしまうのではないかと気になるのであれば、何時間かに1回、声をかけてみるのもひとつの方法です。

リビング学習における環境づくりのコツ

リビング学習に向いている人でも、長期間続けていると、どうしても飽きが来てしまうことがあります。ほかにも、生活環境によって、リビング学習では集中できないことも考えられます。

そこでここでは、リビング学習における環境づくりのコツについて、いくつか紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

生活動線を考慮した配置にする

リビング学習を充実させるためには、まず生活同線を考慮した配置にするよう心がける必要があります。たとえば、学習スペースの近くを、家事などでせわしなく家族が行き来するのであれば落ち着きがなく、そもそも勉強を始められるようなスペースが確保させていなければ、なかなか難しいでしょう。

リビングで生活するほかの家族と子ども、両方にとって、なるべくストレスを感じない環境づくりが大切です。

子どもとの距離感を大切にする

リビング学習では、子どもとの距離感が何よりも大切です。マンツーマンで見守られている方が安心するのか、対面の方がよいのか、それとも少し離れたキッチンなどから見守る形がよいのか、子どもの希望を尊重してあげましょう。

逆に、合わない距離感でリビング学習を続けていると、無意識に子どもの学習を妨げることになります。

テレビが視界に入りにくい配置にする

ほとんどの家庭では、リビングにテレビがあることが多いです。しかし、テレビが視界に入ってしまうと、どうしても観てしまいます。

したがって、リビング学習を考えている方であれば、なるべく学習するスペースからテレビが観えないように工夫する必要があります。ただ、もし難しいのであれば、目に入りにくくするためにも、対面の配置だけは避けるとよいでしょう。

部屋の出入口が見える位置にする

リビング学習をするのであれば、部屋の出入口が見えるところに勉強スペースを設けると、集中しやすいです。なぜなら、背後にもし部屋の出入り口があれば、誰かが出入りをした際、そのたびに気になってしまうからです。

振り返るとどうしても集中できなくなるため、なるべく目線で確認できるところで勉強させるのがおすすめです。

必要な道具がすぐ手に取れるようにする

勉強する際は、当然ですが教材や文房具などが必要となります。しかし本来、リビングには勉強道具がないことがほとんどです。したがって、リビング学習をするのなら、最低限の文房具だけでも、すぐに手が届くところに配置する方が、より手軽に勉強を始めやすくなります。

照明器具の明るさを調節する

リビングはリビングに適した照明があり、勉強や作業向きの照明でないことがほとんどです。したがって、リビング学習を始めるのなら、勉強に適した部屋全体を明るくするものと、手元を明るくするデスクライトなどがあると理想的です。

最近では、白や青系のものやコードレスタイプ、充電式のもの、折りたためるものなど、多種多様な照明があるため、ぜひ探してみてください。

体に合った椅子を用意する

とくに、まだ小学生の場合、体に合った椅子を用意することが大事です。リビングにある椅子が合っているのであれば問題ないですが、床に足がつかない状態などであれば、どうしても集中できません。ほかにも、キャスター付きのものなどだと、遊んでしまう可能性が高いので要注意です。

椅子に関しては、なるべく子どもが姿勢よく座れるものや長時間座っていても、疲れを感じにくいものなどがおすすめです。

リビング学習をやめてほしいときの対処法

やはり食事を始める際など、家庭によっては、リビング学習をやめてほしいと思うこともあるはずです。しかし、とくに小学生だと切り替えが難しく、中学生・高校生になるとやることが増え、なかなかやめられず困ってしまうでしょう。

もし、リビング学習を辞めてほしいと思うことがあるのなら「〇〇時からは自室で」といったように、あらかじめ時間を決めておくとスムーズです。リビング学習では、子どもだけではなく、保護者やほかの家族なども過ごしやすくできるような心がけが大事です。

リビング学習をさせるには、適切なレイアウトにする必要があります。リビング学習がしやすいレイアウトについて、詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

まとめ

今回は、リビング学習を行うメリットやデメリット、リビング学習に向いている子どもの特徴やポイントなどについて紹介しました。

リビング学習は、とくに自力で学習する習慣がない子どもやひとりだとついサボってしまいがちな子どもに向いた学習方法です。

しかし、リビング学習には気を付けなければいけないことや人によっては合わないといったケースもあるため、注意が必要です。たとえば、保護者の方が干渉してしまう、誰に見られていると逆に集中できない性格にはおすすめできません。

すでにリビング学習を取り入れている方も、これからリビング学習を検討している方もぜひ今回の記事を参考にしてみてください。


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